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VOICE 2018.10.1

地球っ子教室 | 陶 旭茹 (トウ シュール)さん

VOICE|地球っ子教室 : 陶 旭茹 (トウ シュール)さん

今現在地球学校に通っている人、これまでに通ったことがある先輩の方々から直接お話を伺うインタビュー企画、VOICE。

今回は、地球学校の中でもメインのプログラムでもある「地球っ子教室」に通っていた陶 旭茹 (トウ シュール)  さんにお話を伺いました。
 

- トウさん、今日はよろしくお願いします。

- はい、よろしくお願い致します。
今日のインタビュー楽しみにしていました。

- ありがとうございます。
トウさんは今、音楽活動を通して、高齢者施設でのコンサートや発表会のプログラムの実施、日本と中国との間をつなぐ国際交流の活動を行われているんですね。

- そうですね、音楽を通じて一緒に歌ったり、演奏したりすることで、高齢者の方々の健康維持や生きがいづくりの取り組みを行なっています。音大を出ているので、同級生たちと一緒にやっていますね。そして、昨年は上海音楽学院から学生8名を招いて、横浜教育委員会が主催するプログラムに参加してもらったり、日本と中国の音楽をそれぞれの国同士で演奏したり。
あとは自分自身の演奏活動も行なっているので、コンサートなど行なっています。

- 多岐にわたる活動をされていますね。早速ですが、トウさんが「地球っ子教室」に通っていたのはいつ頃ですか?

- 私はちょうど高校2年生の時に日本に来ました。
そこから1ヶ月もしない間に、地球学校と出会って通うことになったんです。
 

笑顔が素敵な陶さん。高校生の頃の自分を思い出しながら、お話してくれました。

高校2年生の春に来日。えっ、来年の春まで高校行けないの?!

- 最初に日本に来た時、高校のシステムについても何も知らなかったんです。
なので、3月に日本に来て、行きたかった高校に話を聞きに行っても、来年の入学試験を受けてくださいと言われてしまって。ですので、1年ほど、高校に通えない状態ですよね。

- そうか、学期がいつから始まるとか、わからないですよね。

- そうなんです。もちろん私立の高校だったら、すぐ入学出来たのかもしれませんが、そういう選択肢はありませんでした。中国では毎日学校に通っていたので、いきなり行く場所もなく、宙ぶらりんの状態。
すごく不安で、母親と高校訪問いた帰りの道の風景と悲しい思いを鮮明に覚えています。

- そこから、どのようにして地球学校「地球っ子教室」に出会ったのですか?

- 引っ越して来た近所に「地球っ子教室」に通っている子がいたんです。
その子を通じて、楽しく学べる場所があるよ、一度見学に行ってみたら?と誘ってもらったんです。

- そこから通うようになったんですね。

- そうですね、見学に行ったらとってもいい雰囲気だなと思って。
最初に感じたのは、毎日行く場所ができたという喜びが一番大きかった気がします。地球学校に行けば、話を聞いてくれる先生がいて、友達もいて。それが本当に嬉しかったんです。安心感というか、日々の生活の流れが出来たようで。

- トウさんは、日本語はどれくらい話せる状態だったんですか?

- 全然でした。中国にいた頃自分で勉強していたのですが、全然話せない状態で。笑 
だから初歩的な部分を、1から教えていただきました。
特に大変だったのは、高校受験に向けての試験勉強対策ですね。ただ日本語を覚えるというだけでなく、私の場合は10ヶ月後に高校の入学試験を日本語で受けなければならなかったので。

例えば、数学は得意だったので、勉強しなくてもいいかな?と思っていたのですが、日本語が読めないと問題自体を把握出来ないので、数学の知識があっても対応できないんです。それに気がついて、焦ったり。笑  本当に大変でした。

- 問題が読めないと解けないですもんね。

- なので日本語を教えてくれる先生と、入試対策の先生の二人体制で、本当に地球っ子教室と出会って良かったです。

 

地球っ子教室が、大切な居場所

- トウさんにとって、地球学校はどんな存在でしたか?

- あの頃の自分にとっては、本当に大切な居場所だったと思います。
10代の思春期で、言葉も話せない場所へ来たのですから。友達を作るのも、大変だったと思います。
私は小さい頃からピアノが好きで、高校を選ぶ際にどうしても、ピアノの練習場がある高校に行きたかったんです。
そのためには、どうしても試験に合格したかった。目標があって、その目標に対して、親身になってサポートしてくれたのが地球学校なんです。

私が何をしたいのか、それをしっかり聞いてくれて、そのために必要な学びの時間を先生達が考えてくださって。

そう言えば、卒業してから一度「地球っ子教室」の先生になりたい方々向けに、卒業生として話をして欲しいという場に呼んでいただいたんです。その時に、“ああ、こうやって「地球っ子教室」の先生として資質のある方をしっかり選ばれているんだなと””誰もが教えられないことなんだな”と改めて感じました。
辻先生や森本先生のおかげで今の私あると思っています。

 

インタビューのあった日に行われた地球っ子教室に、教える側として参加する陶さん。教えるのもとっても上手!

陶さん流! 日本語学習のコツ

- 見事、その後入学試験に合格、行きたい高校へ進学されてトウさんの頑張りがあったからですね。 
最後に、これから日本語を勉強する方々に何かメッセージをお願い致します。

- そうですね、私の場合は15歳で日本に来たので、ある程度の年齢になってから日本語を学ぶ方にとってのアドバイスになってしまいますが、、

1.  コンプレックスなんて感じない!恥ずかしがらずにとにかく喋る!

私も思春期だったので、最初は日本語を話すこと自体をすごく恥ずかしかったんです。特に外出先で、少しでも話すと話し方がおかしいから笑われたくない、バレたくない、みたいな。でも、喋らないと上達しないので、恐れずにどんどん話しかけて、間違った部分があったら、直してねと言えるくらいでいいんです。

「地球っ子教室」に通っている頃、毎日遊びに行くような気持ちで楽しくて仕方がなかったんですよね。それは、毎日どれくらい自分の日本語が成長しているのか、先生に見てもらいたかったから。しゃべっている時でも先生は、細かい部分の修正をしてくれたり、どうして日本の人はそう考えて行動するのか、物事の考え方まで教えてくれたんです。やっぱり話すことが一番ですね。

2. 母国語のボキャブラリーもすごく大事!

これは、私の日本語の上達が途中で止まったことがあって。で、気がついたのは、母国語の方も15歳くらいで日本に来ているので、そこで成長が止まっていたんです。そこからは中国の本を読むようにしたり、少し難しい言葉を学んでいったり。そうすると、日本語の方の学びの質がよくなったんです。だから、ベースとなる母国語の方も、しっかり学んで行くことも大事な気がします。

3. 使ったことのない言葉を日常でトライして使ってみる!

これは最初のコツに近いんですが、とにかく使ったことのない言葉を、会話の中でどんどん使ってみるんですよね。もちろん相手は、私がその言葉を初めて使っていることは知らない状態。もちろん、ん?って聞き返されたりすることもあるんですけど、ごくたまにものすごくスムーズにコミュニケーションが出来る時があるんですよね。その時の快感がたまらないんです!笑 この快感を感じた言葉は、本当に一生忘れないんですよ。正しく使えた喜びとコミュニケーションが成立した2つの喜びで、すごく幸せな気持ちになるんです。この快感をぜひ、みんなにも味わって欲しいですね。

- 15歳で日本に来て、日本語を学ばれたトウさんならではのコツですね。
 今日はありがとうございました。これからの活動、楽しみにしています!
また地球学校に遊びに来てくださいね。

- こちらこそ、ありがとうございます。また子供達に教えに行きますね!
 
 

高校生の頃からお世話になっている辻先生と、事務局長の丸山さんと3人で。

陶さんのホームページはこちら

 
 

随時インタビュー記事をアップしていく予定です。
ご期待ください!